2013年7月4日木曜日

パワー森林香と携帯防虫器

森林測量の仕事は山の中ですることが多いので蚊や虫との戦いです。蚊に刺されないために森林香というとても強力な蚊取り線香を使っています。ふつうの蚊取り線香の2倍くらいの煙がもくもくと出るので、蚊もなかなか寄りついてきません。ただし、ふつうの蚊取り線香よりもかなりお値段が高いのが弱点です。


このパワー森林香はふつうの蚊取り線香よりも厚みがあるので、通常の携帯用ケースには収納が難しいです。パワー森林香専用の携帯防虫器があるので、これもお値段が高いのですが、思い切って購入してみました。
コダマ 富士錦 パワー森林香 30巻1箱+携帯防虫器1箱セット
コダマ 富士錦 パワー森林香 30巻1箱+携帯防虫器1箱セット

この携帯防虫器は確かに使いやすく値段が高いだけのことはあるなと思いました。パワー森林香を使うならほとんど唯一の選択肢だと思います。予備のパワー森林香を収納するためのケースも付いており、お値段は高いけれどもいい買い物だったと思っています。

2013年7月3日水曜日

木材・合板博物館

2013年に香川県にある南海プライウッド株式会社の工場、続いてインドネシアのスラバヤにある同社の工場や植林地を訪問させていただきました。それ以来、合板(ごうはん)への興味が高まっていて、今日は東京にある木材・合板博物館に行ってきました。


こんな博物館があることは知らなかったのですが、インターネットで合板のことを調べていたらたまたま見つけて、いつかは行きたいと思っていたのです。

合板に興味があるなら、これほどおもしろい博物館はないでしょう。もし合板に興味がなくても森林には興味があるという人も訪れてみてはどうかと思います。

合板はこれまで外材を使ったものが多かったのですが、近年の環境問題への意識の高まりや合板製造技術の向上により国産材を使った合板が急速に増えているのです。

過去には日本が輸入している南洋材を使った合板は熱帯林を破壊しているとも言われていましたが、今ではファルカタやカランパヤンといった成長の早い人工林によって持続的な生産システムが確立されつつあります。

さて、木材・合板博物館があるのは新木場です。もともと、木場にはたくさんの木材問屋があったそうなのですが、東京湾の埋め立てによって新木場に移転したとのことです。駅から木材・合板博物館へ向かって新木場を歩いていたら木材問屋が立ち並んでいました。


合板、LVL(単板積層材)、集成材、パーティクルボード、MDFあたりは木材が専門でなくても知っておいた方がよさそうです。わかりやすいパネル展示がありました。




日本では合板のことをしばしばベニア板と呼んでいますが、英語のveneerとは合板を構成する単板のことで、合板は英語でplywoodと言います。

鳥取県にある株式会社オロチで作られたスギLVLのベンチもありました。


木材・合板博物館が入ったビルのロビーには堀江謙一が日本人初太平洋単独横断に使用した小型ヨット「マーメイド号」のレプリカがありました。本物はサンフランシスコの海洋博物館にあります。


なぜ「マーメイド号」がここに展示されているのかと言えば、この船が合板で作られているからです。当時水に弱いと言われていた合板で作られたヨットが太平洋横断を成し遂げたことが、合板業界の誇りであったのだとか。合板業界のプロジェクトXだったのかもしれないですね。

2013年7月2日火曜日

日本の林業はなぜいつまでたってもダメなのか?

森林・林業白書はダウンロードで無料で手に入るようになっていますが、有料冊子を買うという学生がいたので「何のために?」と尋ねたところ、紙だと線が引けていいとのことでした。無駄な紙を使う人はアホだと信じている私でも、確かにPDFでは線が簡単に引けないなと納得しました。


森林・林業白書を公務員試験対策に役立てるというのは昔から林学系の学生がよくやっていることです。しかし、森林・林業白書を読んでいると、これでは日本の林業の状況が全然よくならないのは当然だなと思います。

その理由は、林野庁に過去の過ちに対する反省が全く見られないことです。森林・林業白書の中には過去の失敗に関する記述も、それに対する反省の言葉も何もありません。ただ、日本林業の中では例外と呼ぶべき成功例を大きく取り上げ、日本林業のバラ色の未来を予見させる脳天気な記述があるだけです。

人間のすることは間違いが避けられないので、過去の失敗から全力で学びながら今を生きていくしかありません。過去の失敗に目をつぶって、その原因を追及しなければ、同じ失敗を繰り返すことになってしまいます。過去の失敗を認めることは決して敗北ではないのに、日本の官僚組織にはそれができないようです。

日本の林業機械開発も同じですね。いったい誰が何に使うのだろうか?と思ってしまう機械が林野庁の補助金で開発され続けた結果、日本の林業機械化が先進国最低水準にあるのは間違いないと思っています。

日本のような山岳地形では最も活躍が期待されているのに、生産性は頭打ちで使えないとの烙印が押されているタワーヤーダやスイングヤーダについて解決すべき問題の所在を明らかにする歴史の総括は一度でも行われたのでしょうか?

林業機械に限らず失敗から学ぶというのはものづくりには欠かせないものであるはずです。林業機械開発の歴史を総括して過去の失敗から学ぶプロセスがなければ、いくら巨額の費用を投じても日本の林業機械開発は再び失敗に終わるだけでしょう。

2013年7月1日月曜日

イースター島には森林が全くないのか?

「生態系を蘇らせる」(鷲谷いづみ著、日本放送出版発行)という本には「イースター島にはなぜ森がないのか」というトピックがあったので興味深く読みました。

生態系を蘇らせる (NHKブックス)
生態系を蘇らせる (NHKブックス)

その中で、「現在、森林のまったくみられないこの島も、ポリネシア人がはじめて入植した西暦四〇〇年ごろは、全島が森林におおわれていたことが明らかにされている」という記述が気になりました。

イースター島には現在でも森林が全くないのでしょうか?Google Mapsで衛星写真を見てみたいと思います。


大きな地図で見る

上の地図の「大きな地図で見る」をクリックしていただくともっとよくわかると思いますが、イースター島の中央部には大きな林地が存在しています。このあたりを何度か車で通ったのですが、ここはユーカリの植林地です。島の南西部の空港周辺にもまとまった林地があります。

イースター島の気候は年間を通じて温暖で、1,000mm/年を超える降水量があり、木が育つには問題のないような島です。

それなのに、今でも牛や馬の放牧が島の各所で行われており、これが森林化を阻害しているのではないかと思いました。また風が強いため海岸部での森林化は難しいのかもしれません。

とはいえ、下の写真を見ていただくとわかると思いますが、現在のイースター島は決して緑のない不毛な土地ではありません。







さて、イースター島の文明崩壊の原因は一般的に森林破壊にあったとされていて、この本の著者もそのような説に沿った話を書いています。

花粉分析などによって断片的な事実は明らかになっているのかもしれませんが、文献資料の少ないイースター島において、「人口増加→森林破壊→食料不足→文明崩壊」という一見美しい因果関係が真実なのかどうかはわからないと思いました。

実際にイースター島に行ってみて、文明崩壊に至るプロセスはそんなに単純なものだったのだろうかという疑問がわき起こってきたのですが、この本の著者である東大の先生は自らイースター島に行ってみたのでしょうかね?

最後に、イースター島をかつて覆っていたと言われるジャイアントヤシの森のイラストがとても印象的でしたので、ご興味があればリンク先をご覧になって下さい。こんな島が現実にあったらぜひとも行ってみたいですね。