「生態系を蘇らせる」(鷲谷いづみ著、日本放送出版発行)という本には「イースター島にはなぜ森がないのか」というトピックがあったので興味深く読みました。
生態系を蘇らせる (NHKブックス)
その中で、「現在、森林のまったくみられないこの島も、ポリネシア人がはじめて入植した西暦四〇〇年ごろは、全島が森林におおわれていたことが明らかにされている」という記述が気になりました。
イースター島には現在でも森林が全くないのでしょうか?Google Mapsで衛星写真を見てみたいと思います。
大きな地図で見る
上の地図の「大きな地図で見る」をクリックしていただくともっとよくわかると思いますが、イースター島の中央部には大きな林地が存在しています。このあたりを何度か車で通ったのですが、ここはユーカリの植林地です。島の南西部の空港周辺にもまとまった林地があります。
イースター島の気候は年間を通じて温暖で、1,000mm/年を超える降水量があり、木が育つには問題のないような島です。
それなのに、今でも牛や馬の放牧が島の各所で行われており、これが森林化を阻害しているのではないかと思いました。また風が強いため海岸部での森林化は難しいのかもしれません。
とはいえ、下の写真を見ていただくとわかると思いますが、現在のイースター島は決して緑のない不毛な土地ではありません。
さて、イースター島の文明崩壊の原因は一般的に森林破壊にあったとされていて、この本の著者もそのような説に沿った話を書いています。
花粉分析などによって断片的な事実は明らかになっているのかもしれませんが、文献資料の少ないイースター島において、「人口増加→森林破壊→食料不足→文明崩壊」という一見美しい因果関係が真実なのかどうかはわからないと思いました。
実際にイースター島に行ってみて、文明崩壊に至るプロセスはそんなに単純なものだったのだろうかという疑問がわき起こってきたのですが、この本の著者である東大の先生は自らイースター島に行ってみたのでしょうかね?
最後に、イースター島をかつて覆っていたと言われる
ジャイアントヤシの森のイラストがとても印象的でしたので、ご興味があればリンク先をご覧になって下さい。こんな島が現実にあったらぜひとも行ってみたいですね。